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日々考えたことや誰かの役に立ちそうなことを書きとめておこうと思います。

海外移住、海外赴任のメリット13個とデメリット5個 -シンガポールに家族で移住した私の場合

海外移住、海外駐在を予定、検討されている方にとって気になる話題第一位!と言ってもいい、移住のメリット&デメリット。特に家族で海外移住する場合、その決断は会社都合の駐在や仕事事情による移住など、多くの場合男性側の事情で決定されることが多いだろう。そんな中、家族みんなにとってハッピーライフが送れるかどうかは重要なポイント。以下に挙げたポイントが誰にとっても当てはまるかどうかは家庭の事情によるところもあると思うが、今日は私の視点でのシンガポール移住について、良いと思う点や気に入っている点と、悪い点、日本の方が良かったかな、と思う点について書いてみたい。

 

 

まずは思いつくメリット13個

1. 税制(所得税、法人税)

シンガポールの税金が安いことは有名な話。特に自営業者にとってメリットが多く、この税制のために移住してくる経営者も多いだろう。しかしうちのようなサラリーマン家庭にとってもメリットはある。詳細な数字はここでは語らないが、サラリーマンでも、日本と比較して所得税はびっくりするほど安い。

2. 投資や保険

投資(キャピタルゲイン)に対する課税がないことで知られているが、私がメリットを感じているのは貯蓄を目的とした保険商品だろうか。家庭があり子供がいれば将来のための備えも考えると思うが、シンガポールの保険商品は日本のそれと比較した際にかなり優れている上にリスクも少ないと感じる。そう言った商品は、基本的にシンガポール在住者しか購入することができないので、移住のメリットと言えるのではないだろうか。詳細はまた機会があれば紹介したい。

3. 教育環境

●Pre-school(幼稚園/保育園)時代
早期教育の是非はさておいて、子供の教育に関しては日本と比較して遥かに優れていると感じる。特にシンガポールの高い生活費を気にしない裕福層にとって、教育環境の充実はシンガポール移住の大きな動機となっているのではないだろうか。うちの子供は3歳でシンガポールに移住したが、Pre-school(幼稚園/保育園)時代に英語とある程度の中国語を操れるようになったし、Math(算数)は小学校前に分数計算まで、Science(科学)の勉強もレベルが高く、体の機能、食物連鎖、水の循環・・・といったことを学んできては、よく私に教えてくれた。これらはシンガポールのローカルスクールでは一般的なレベルのようだ。
幼児期にそこまでやるなんて、という心配もあるだろうがその点は学校と先生の質によってくるという印象だった。つまり教え方や方針、子供との接し方さえ間違っていなければ、子供は楽しく学んでいるようだ。このあたりは、周囲の話を聞いていても、学校や先生によってかなり差が出ているという印象を受けた。
一方、中国語は必要ないという家庭や、日本のような幼稚園を、という家庭にも選択肢が用意されているのもメリットと言えるのではないだろうか。

●小学校時代
小学校も、日本人学校からインターナショナルスクール、ローカル校まで選択肢は様々だ(ほとんどの家庭においてローカールは選択肢に入りにくいと思うが)。各家庭の教育方針に合わせて最適な学校が選択できる環境にあると言えるのではないか。またシンガポール日本人学校の学力レベルは高く保たれており、英語教育も充実している。

また、学校以外の教育環境も見逃せない。美術館や公園、動物園などの施設に行くたび、子供向けに工夫された教育ツールやアイデアに驚かされる。例えば一見大人向けの美術館にもちゃんと子供が子供なりに楽しく参加出来る工夫がされていることが多いのだ。

4. 気候、体調

暑すぎる!という方も多いだろうが、一年中軽装で過ごせるシンガポールの気候を私は気に入っている。特に一年中多湿であるので、肌の調子はすこぶる良いし、乾燥による肌トラブルのある方は移住すれば治るのではないだろうか。冬に日本に帰国すると、みるみるうちに体から水分が奪われていくのがわかるくらいである。もちろんインフルエンザなどの流行と言うのもない。
ここ最近はヘイズと呼ばれる煙害も少なくなっているし、花粉症などに悩まされている人にも良い環境ではないだろうか。
季節がないというのは寂しいが、気候が常に安定しているため総じて体調管理はしやすいと言える。

5. 日本との時差がたった1時間、比較的に日本に近い

海外に移住しても、友人や家族、仕事まで日本と切り離せることは少ないはず。時差を気にせず日本の友人と連絡を取り合ったり、行き来できることは思いの他メリットが大きい。LINEやSNSが普及した昨今、時差がないだけで日本との距離を感覚的にかなり近く感じることができるのだ。また日本との距離が物理的に遠すぎない(欧米諸国等と比較して・・ということだが)ので、比較的気軽に日本と行き来できるのもメリットだと感じる。
欧米に在住する友人も見てきているが、時差に加え、経済的にも簡単には帰れない物理的距離の大きさは、移住生活を思いの外孤独にすることがあるようだ。

6. 労働環境(ワークライフバランス)

私の労働環境はフリーランスであるためほとんど変化なしだが、いわゆるサラリーマンである夫の労働環境は随分変化した。まず残業が日本にいた時と比較して圧倒的に少ない。午後6時から7時前後には自宅に戻っているので夕食もみんなで食べられることが多い。また休暇も取りやすいようだ。有給に加え、Childcare leaveと言われる育児休暇が子供の年齢に応じて付与されるのだが、日本のように遠慮は必要ないので仕事の調整さえできればきちんと取得できる。しかも体調不良で会社を休むときにはSick leave(病疾休暇)を取得するので有給が減ることはない。シンガポール移住当初、周りのメンバーが休んでばかりいるとこぼしていたが、今では彼もよく会社を休んで自分の時間や、家族との時間に当てている。
日本でも労働環境が見直されつつあるようだが、働き盛りの年齢であればなおさらここまで気持ちよく自分の時間を確保できる会社はまだ多くないのではないかと思う。これが家では何もしない夫ならば、妻の私にはデメリット(笑)かもしれないが、幸い子供の相手をしてくれる時間も増え、私にとっても子供にとっても移住前には想定していなかったメリットとなっている。

7. 家、住環境が充実している(コンドミニアム)

コンドミニアムを前提としているので住居費に反映された結果とも言えるので、シンガポールの住環境について意見は分かれるかもしれないが、住宅環境は良いと言えるのではないだろうか。しかしこれは私が住居に何を求めるか、という所にもよるかもしれない。広さ、プール、ジム、などの充実度についてはメリットと感じている。一方で細かな設備、例えば追焚き機能や自動湯沸かしのついた風呂(そもそも風呂がないが・・)、タイマーなど様々な機能のついたガスコンロなどといった、かゆいところに手の届くような気の利いた機能や生活の細かな動線に配慮した住宅設計などは期待できない。

8. アジア諸国への旅行

近隣諸国なら交通費は一万円くらいから。そしてフライト時間も1時間程度から。シンガポールはアジア諸国への旅行をするには絶好のロケーションだ。子供のいない友人夫婦は毎月のように海外に出かけている。 

9. グローバルな感覚が身につく、外国語の習得やスキルアップにも

中華系、インド系、マレー系に加え、世界中からの外国人。人種も様々なら言語も宗教も色々。それぞれのコミュニティ色の強い街に行けばその国のムードも文化も味わえる。食もバラエティに富んでいる。小さなシンガポールで世界が体験できると言ってもいいくらいだ。
言わずもがな、特に英語、中国語を中心とした、外国語の習得を考えている人にはとてもメリットのある環境。

10. メイド雇用

子供が2人3人といる家庭なら、パートタイムも含めてメイド雇用を検討するかもしれない。もちろん費用はかかるが、それと引き換えに得られるものも大きい。雇用するかしないかは別として選択肢が増えるのはメリットではないだろうか。 

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追記!

日本と比較してあまりに当たり前すぎて忘れていたことや移住メリットとして新たに気づいたことがあったので追記したい。

11. 医療の充実

日本に引けを取らないばかりか、個人的には日本以上、と感じている。加入している保険次第では医療費が高いのが難点だが、安心して医者にかかることができる。もちろん日本の病院&ドクターもいるので日本語の診療を希望する場合にはそれも可能だ。日本人医師は日本の医師免許で業務に当たっているので、日本の基準での診察を受けることができるので、私は症状等によってローカルのドクターと使い分けている。

12. 高い安全性

これも日本以上に安全、と言っていいくらいではないだろうか。これまでなくした貴重品は手元に戻ってきたし、ものが盗まれるといったこともない。監視カメラの多さなどから管理社会であることを感じることはあるが、それでも安心して家族で過ごせることは重要なことだ。加えて言えば、買い物等の際に金銭を誤魔化されたりすることもない。特に家族での海外移住となると、安全性の不安はつきまとうがシンガポールに関して言えば心配はないと言っていいだろう。一瞬も子供から目を離せないような環境ではそれだけで疲れてしまう。

13. 人がおおらかで優しく、子育てしやすい

他のアジア諸国でも感じることだが、人がおおらかで特に子供に対して寛大だと思う。例えば、シンガポールでバスや電車に乗ったら、必ずと言っていいほど大人は子供に席を譲ってくれる。ちょっと危なっかしい場面があれば、周りの大人が声をかけてくれる。隣り合った知らない人が子供に話しかけてくれる、というのは当たり前の光景。
公共の場で子供が騒いだり、いうことを聞かなかったりすると親は周りの目を気にしてやきもきするものだが、こちらでは周りの大人が一緒になってあやしてくれたりすることはあっても、白い目で見られるということはない。

 

次にシンガポール生活のデメリットを5つほど

1. 生活費、教育費用が高い

これはもう基本的には最大のデメリットというしかない。もちろん経営者など高所得層であれば税制面の優遇などで、メリットがこのデメリットを上回るだろうが一般的な所得層にとっては難しい。
特に家賃と学費が高くこれらはあまり節約や工夫のしどころもない。大雑把に言って家賃は単身シェアルームでで800ドル/月程度から、ワンユニット(一人暮らし)なら2000ドル程度からとなるだろうか。家族で移住となれば最低3000〜4000ドル/月は見ておきたいところ。それでもここ2、3年で相場は下がってきてのお値段。また教育費用についても、外国人には国からの助成などはない。最低一人1000〜1500ドル/月程度はかかるだろうし、インターに入れようと思えばさらにその倍程度はかかってくるだろう。
教育を投資と考えたり、有利な金融商品を検討するなど、長期的な視点で捉えて人生設計していくことができないと苦しい問題だ。

2. 季節がない(=飽きる)

「シンガポールは狭いから飽きる」と良く聞く。もちろん東京ほどに娯楽施設は充実していない、といったこともあるのでそれも間違ってはいないのだろうが、私の感想としては狭いからではなく「季節がないから飽きる」。
日本人て季節とともに生きてるんだなぁ、ということに私が気がついたのはシンガポールに来てからのこと。日本には季節があっていいよね、というのは良く聞くから頭では理解していたつもりだったが、年中夏のこの国で過ごしてその意味するところを理解した。衣服、景色、食材、料理、室内の装飾、イベント、旅先、使う化粧品、等・・・。これら全部が季節を追いかけて変化する。単に春には桜が咲いて綺麗だね、という程度にしか捉えていなかった季節の変化とは、こうも生活全てを左右しているものかと思ったものだ。それはもう、季節を追いかけて生活している、と言ってもいいくらいだ。それがなくなるとどうなるか想像してみてほしい。例えば、近所のレストランのメニューは一年中同じだし、スーパーの食材も一年中変化なし。ついでに言うと日の出も日の入も一年中ほとんど変わらない。私にとって「シンガポールは飽きる」というのはそういうこと。何かと楽でいいという側面もあるのだが、私にとってはデメリットが大きいところである。

3. カビる、虫が多い

シンガポールの湿度はとても高い。晴れた日に窓を開けていても室内の湿度は60%近く、温度だって26-28度程度もある。雨が降ればもちろん70%を超える。カビが生えるかどうかの分かれ目は70%前後なので、ちょっと湿度の高い日が続けばカビの温床だ。これを防ぐには、年中窓を閉めてエアコンを入れて生活するか、室内の通気性を保つこと。こちらには湿度を適度に保つ桐ダンスなんていう気の利いたものはないので(シンガポールでも機能するのだろうか?)、クローゼットの中もあまり詰め込みすぎないようにする。そして奥の方にしまったまま着ない服などもないように気をつけたい。
それに虫が全く苦手という方にとってはちょっときつい環境かもしれない。どんな住まいを選択するかに大きくよるとはいえ、基本的にヤモリとは仲良く共存し目が合ったらご挨拶。台所にアリが発生しても気にしない、くらいのメンタリティがないと疲れるかも。そうは言っても、この熱帯地方にいてこの程度で済むのはシンガポールが大都会で、政府がペストコントロール(害虫駆除)を義務付けているからだろう。

4. コミュニティが狭い

シンガポールに日本人は約4万人。そのほとんどが、シンガポールの中心部などかなり偏った場所に暮らしている。そうなってくるとやはりコミュニティは狭くなりがち。これは個人の生活の仕方にもよると思うが、日本語のみで日本にいた時と同じ暮らしをしようと思えば、よりこのコミュニティの狭さを息苦しく感じるかもしれない。そんな窮屈さを耳にする一方で、多様な文化のシンガポールで日本以上にのびのび自由な生活をしているという話も聞く。良いバランスを見つけてシンガポール生活を楽しみたいところ。

5. お風呂に入れない

日本人にとっては結構重要な項目ではないだろうか?シンガポールのバスルームにはバスタブがある方が少ないくらいだし、仮にバスタブがあっても、熱めのお湯をいっぱいにしようと思ったらお湯が足りなくなったりする。それにもちろん追焚き機能なんていうものが付いているところはないに等しい。シンガポールは暑いので普段湯船に浸かりたくなることはそんなにないのだが、やはりちょっと体調を崩しているときなど、お風呂に入りたいな、と思うことはある。入れないと思うとなおさら入りたくのはやはり日本人だからだろうか。

 

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個人的に感じたメリットやデメリット(単に私の好み・・というのもあるが)としてまとめてみたがどうだろうか。書いていて、一つ一つについてもっと突っ込んで詳しく書きたくなったことがたくさんあるが、あまりにも長くなってしまうのでこのくらいにしておこうと思う。また思いつくことがあれば随時追加したい。