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海外移住、子供の小・中学校はインターナショナルスクールより日本人学校を選択するべき5つの理由

海外移住の際に、せっかくの機会だからとインターを選択する傾向はますます強くなっていると思うが、今回はあえて日本人学校を選択することのメリットを考えてみた。ただしメリットとデメリットというのは表裏一体であることも多いので、日本人学校以外の選択肢を否定しているわけではなく、一つの考え方として捉えてもらえれたらと思う。
 
 

1.質の高いレベルで、日本人としての教育が受けられる。

シンガポール日本人学校では、他の日本人学校と同様に日本の文部科学省が定める日本のカリキュラムで授業が行われる。「質の高いレベル」とあえてつけたのは、総合的に考えて学力レベルや施設の充実度などが日本の公立校と比較しても高いレベルに保たれている、という意味。通っているのが駐在員家庭の子供というのが中心になってくるので総じて教育熱心な家庭が多い印象。そして学校の規模だが、海外の日本人学校となると場所によってはかなり小規模で閉鎖的な人間関係になることも多いが、シンガポールには日本人が4万人弱いることから、学校規模やクラスの数も日本国内の学校に引けをとらない。
 

2.英語教育のレベルが高い

シンガポール日本人学校では、日本のカリキュラムを踏襲しながらも「使える英語」を目指した教育がされている。小学校では、1年生から英語の授業があり、なんと12段階の習熟度別授業が行なわれている上、教師のほとんどはネイティブスピーカーである。現地でインターやローカル幼稚園に通った子供や両親のどちらかが外国人である子供の入学を考えるとそのような習熟度別授業が必要なのも納得できる。
4年生までは週に3回、5年生からは週に4回という充実ぶり。日本で英語教育義務化が進められている現在だが、それと比較してもかなりの充実度と言えるだろう。そして中学校では体育、音楽、美術といった教科で英語のイマージョン教育が取り入れられている。子供の英語力に沿ったレベルでの学習ができるというのは非常に魅力的な環境ではないだろうか。

 

3.第一言語が日本語になる

当然だが授業は基本的に日本語で行われるので日本語の習得が可能。特に小学校の6年間は母国語の習得に非常に大事な時期になるので、海外に居ながらにして、この時期に日本語をしっかり確立できるのは当たり前のようでいて最大のメリットになるのではないだろうか。
バイリンガルを目指して、インターナショナルスクールに通いながら日本人学校の補習校に通う子供も多いが、日本語が伸び悩んだり、子供への負担が大きくなるケースは多い。その他、特にヨーロッパでの例として家では母国語、学校で現地語といったバイリンガル教育であれば、苦もなくバイリンガルに育てられるかのような話をよく聞くが、日本語と英語のバイリンガルというのは、文法構造の違いなどの問題から同じように簡単にはいかないことが多いようだ。
そして子供の日本語がしっかり確立した時点でインターへ編入したり英語教育を始めることは可能だが、その逆は難しい。日本へ帰国の予定がある場合には日本語はしっかりと習得しておかないと子供自身の後々の苦労は計り知れないばかりか、子供の一生を左右する問題になりかねない。特に小学校低学年でインターナショナルスクールを選択する場合は、相当な努力をして日本語を同時学習しながらも、第一言語を英語にするくらいの覚悟が必要ではないだろうか。そのような覚悟と決断を、この時期にするのは本人の意思や特性ををしっかり見極めるには幼すぎるという意味でも大きな賭けになる可能性を秘めている。
将来の選択肢を広く保っておくという意味では、日本人学校に価値があるように思う。
 

4.学校以外の時間を自由に使うことができる。生活にゆとりが持てる

海外でインターナショナルスクールに通う子供たちの共通の課題は、言わずもがな日本語習得や日本のレベルでの学業に遅れをとらないことになってくる。特に数学や科学の学習到達度は、世界的に見ても日本のレベルはまだまだ高く保たれている。それを押してでもインターナショナルスクールを選択する事情がそれぞれにあるのだと思うが、この課題は並大抵のものではなく親子揃っての努力が必要である。毎週土曜の補習校への登校や、夏休みには日本に帰国し、日本の学校に通う子供もいる。そういった努力は将来必ず大きな力となり、役立つものとなるだろうが、一方でこの時期に費やす労力や時間をどのように考えるかというのは難しいところだ。それらの時間で今しか出来ない事が他にもたくさんあるのも事実ではないだろうか。

 

5.学費が安い

「安い」と言えるかどうかは、何と比較するかによるが、ここではシンガポールの日本人学校以外のインターナショナルスクールと比較しての事だと理解してほしい。シンガポール日本人学校は私立校なので、日本の公立校と比較した場合には学費は高い。(ただ、この物価高の中で生活していると、この学費を心から「安い」と思ってしまうところが恐ろしいのだが。)小学部、中学部により差があるが大体月額700〜800ドル。月額2,000ドル前後からと言われる他のインターに比べたら破格の安さなのである。
 
 
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以上、ローカルやインター校に対しての日本人学校のメリットを考えてみた。もちろんこれが正解だと言いたいのではない。各家庭の事情により考え方は様々だろう。仮にすでに結論が出ていたとしても、思考を止めずに考えてみよう。とかくインターor日本人学校、と二者択一になりがちだが、どちらか一方と決めてしまうのではなく、それぞれのメリットを子供の成長に合わせどのように組み合わせたら良いのか、我が子の教育環境について各家庭なりの最善はどのような形であるのか、戦略的に考えてみる価値はあるとおもう。実際には学校をあちこち転校したりすることも簡単ではないと思うが、せっかくこのように様々な選択肢のある環境があるからこそ、柔軟に思考を広げてみると新たな気づきがあるのではないかと思うのだ。