THE LAST PENGUIN...

日々考えたことや誰かの役に立ちそうなことを書きとめておこうと思います。

海外銀行口座開設時に必要な書類と住所決定の重要性(シンガポール)

 
シンガポールに移住が決定してから、主に引っ越しと口座開設のステップ。
最近移住してきた知人が、このステップを意識せず進めており散々苦労していた。その話を聞いて、私が移住したときのことをいろいろ思い出したので簡単にまとめておこうと思う。シンガポールではそれ相応のビザがない外国人が生活に必要な手続きをすることはできない仕組みになっている。そのため、特に住所の決定と銀行口座開設のステップは順序を間違えるとやっかいなことになりかねない。

引越し後の主な生活基盤を整える

新しい土地に引っ越しをしてやらなければいけないことというのはだいたい決まっている。大多数の人が仕事が決定したので引っ越しをする、という流れになると思うので大項目でいえばざっとこんな感じだろう。
  • 住む場所を決める
  • 銀行口座を開く
  • 電話回線契約、インターネット環境整備
  • ガス、水道、電気などの契約
  • (子供がいれば)学校を決める
 
だがしかし、これが結構トリッキーなのだ。あれがおわってないと、これが進められない、これを進めるにはあの書類が必要・・・というものがあり、順番を間違えるとなかなか思ったように手続きがすすまず手間がかかる。英語が流暢なら、すべてまず電話で確認してから手続きにいくとよいが、シングリッシュでまくしたてられてもわからない、という場合は店舗に赴いて、じっくり確認するしかないので、新たな書類を用意して出直し、となると結構な労力がかかる事になる。
特に以下の1から3は、順番が重要だ。
 
  1. 住む場所を決める
    ※必要なもの:
     ・滞在許可証(正式なビザ発給がまだなら労働許可承認レター"In-Principle Approval Letter")
  2. 銀行口座を開く
    ※必要なもの:
    ・ビザ(正式なビザ発給がまだなら労働許可承認レター"In-Principle Approval Letter")
    ・口座開設後の書類配送先住所(ホテルや知人宅は不可で賃貸契約証が必要)
  3. 電話回線契約、インターネット環境整備
    ※必要なもの:
    ・ビザ(正式なビザ発給がまだなら労働許可承認レター"In-Principle Approval Letter")
    ・家の契約書
    ・支払銀行口座
  4. (子供がいれば)学校を決める

一番最初にしなければならないのは家を決めること

真っ先にやらなければいけない事は「住まいをを決め、契約書を取り交わすこと」だ。ほとんどの人にとって部屋を探すと言う事は、仕事や留学などのためにシンガポールで生活の基盤を整えるための最初のステップになると思う。
ただしシンガポールでは、誰にでも部屋を貸してくれるわけではない。日本であれば基本的には支払い能力を何らかの形で保証できれば借りられることが多いように思う。しかしシンガポールでは外国人であれば、この国に長期的に滞在することを許可するビザを持っていることが大前提となる。不動産屋に連絡をしても、まず最初に聞かれるのはビザの種類と有効期間だ。これがなければ全く相手にしてもらえないと言っていい。そして「賃貸契約を取り交わし、シンガポールに住所がある」ということは、きちんとしたビザを持っていることの証なのである。

家を決めるために、検討しなければいけないこと。

子供がいる場合:学校の場所はどこになるのか。
オフィスの場所というのは労働ビザが先に出ていればだいたい決まっているだろう。しかし子供の学校を決めるのはなかなか大変だ。遠いところから通うことになり朝早くに出るスクールバスに一時間近くも乗らなければならないなどということがないように、学校の場所は当たりをつけた上で家を探しをすることになる。
子供がいる場合:スクールバスを使うかどうか
すでに学校が決定していれば、できるだけスクールバスの経路上のコンドミニアムがよいだろう。スクールバスというのは各学校が用意している登下校用バスだが、様々な場所に立ち寄ってみんなを乗せて回るので当然到着までに時間がかかる。タクシーなら10分で済むところをスクールバスでは40分もかかるという話も聞く。こちらでは通学のために30-40分バスに乗るのはそんなに珍しくないので考え方次第だが、学校が比較的近くて誰かが送迎できるのであれば、公共のバスや電車の送迎を前提に家を選んだほうがよいこともあるのでよく調べておこう。スクールバスはだいたい月に200-300ドルはかかるので、利用如何にはその点も考慮したいところ。

急いで決める必要がある一方、部屋選びは慎重に!その理由は?

上記のような事情があるので、だいたい駐在員であればビザが下りてから移住引越し前にまず一度現地に赴いて、2−3日で急いで部屋を決めてくるというケースが多いと思う。
一方、注意が必要なのは、シンガポールでの賃貸は、一度契約したら「途中解約はできない」ということだ。2年契約なら2年住まなければならない。途中で引越ししても次の契約者が決定しない限り契約終了まで家賃を払い続けなくてはならないのだ。これが免除されるのはDiplomatic closeといって、会社都合などで国外に退去する場合の例外的な契約終了が賃貸契約に記載されている場合のみである。

すぐに家を決められない時の注意点

子供の学校の事情もあるし、シンガポールでの住宅選びは日本とだいぶ異なるのでそんなにすぐには決められないと言うケースや、ある程度現地の土地勘をつけながらゆっくり決めたい、という場合はどうするか。1ヶ月程度をホテルや知人の仮住まいにしておくこともできるが、その場合、住所が不定になり、このあとの銀行口座の開設などに支障がでることがあるので注意が必要だ。 

次のステップとして、銀行口座の開設

銀行口座の開設だが、これらの手続きににはID番号(NRIC= National registration identification card, 滞在許可証)と住所の確認(自分の名前とサインのある賃貸契約書)が必要となる。
つまりこの順番を間違えると手続きが一切進まない。
契約の存在しない知人宅への居候や、間借りなどでは口座開設などの手続きができない仕組みになっているのだ。
 
総務部門のしっかりした会社の駐在員として移住する場合には会社のアドバイスに従っていけば問題なく手続きが完了すると思うし代わりに手続きしてもらえることも多いだろうが、それ以外のケースでは注意が必要だ。

銀行口座がないとどんな問題が起こるのか?

現地の銀行口座なしでは、何かと生活するには不便が生じる。例えば、指定の期日までに口座開設をして、銀行口座の情報を会社に申告しなければいけないのになかなかそれができなかったり、口座がスムーズに開けないと日本から自分の口座に一括送金ができないために、不動産の手附金の支払いなど、大きな出費の度に都度国際送金しなければならないということにもなりかねない。
シンガポールの賃貸不動産は、「ディポジットの支払い」=「部屋の仮押さえ」なので、送金に手間取っている間に他のテナントが決まってしまったなどという話も聞く。「絶対にここを借りるから、押さえておいて。」などという交渉は通用しない。
ビザが降りたら本格的な移住前に渡星して部屋を決定するのが最も確実ではあるが、それが難しく現地に行ってから住む場所を決めようと言う場合、また土地勘が全くないからしばらく仮住まいなどをして、少し現地に慣れてから住まいを決定したいと言う場合などには、上記の事柄を念頭に入れておくと良いと思う。

家を決めずに、銀行口座を先に開設するにはどうするか

銀行口座については、例外として勤務先の人事などが、メールやレターの代理受け取りをしてくれる場合に限り、勤務先の住所で手続きを進めてくれる場合があるようだ。 ただ銀行側がOKでもこの代理受け取りを受け付けてくれない人事もあるようなので事前によく確認しよう。それさえ可能ならば、銀行口座の開設ができ、賃貸契約の保証金等、まとまったお金が必要になるたびに国際送金等をせずにも済む。
会社の人事に事前に連絡し、銀行からの書類送付先として使用可能なメールアドレスと住所を確認しよう。金融機関にも、事前に状況を説明して予約を取っておくとよい。場合によっては、滞在許可証(またはIn-Principle Approval Letter)の他に採用通知のような書類を求められるだろう。必要な書類や情報さえそろっていれば飛び込みでも何の問題もなく対応してはくれるが、事前の確認があれば無駄足になることもさけられる。また、口座開設はラッフルズプレイスのようなオフィス街の支店をおすすめする。ビジネスマンよりも観光客が多いような街の支店とは確実に対応が違うし、慣れているので融通を聞かせてくれることも多い。

電話回線契約、インターネット環境整備など通信会社との契約

電話契約については、旅行者用のSIMカードでもローカルの番号を持つことができるし、毎月ちょっとした手間を割いて更新をかければその番号を使い続けることもできる。滞在先でインターネットやWifiの通信回線を自分の名前で引かなくとも良いのであれば当面の不都合は無いだろう。
ただ、滞在者用の契約となるとやはり賃貸契約やビザ、引き落とし先の口座情報などが必須になってくるので、通信会社に契約に行く際はそれらの書類を準備していくと良い。通信会社にはSingtel, Starhubなどいくつかあるが、携帯電話料金を自宅のネット回線の契約等とセットにすると安くなるプランなども用意しているので確認してみるとよい。